新潟県中越地震。書きたいことは山とあるが、今回は、12月10日に開催された『地図ナイト2』会場で買った『マップMEMO』に関することを書く。
『マップMEMO』とは、更新されて販売できなくなった地形図の裏をメモ用紙としたもので、75枚綴り。2万5000図、5万図、20万図が適当にばらけており、いくつか重複もある。地形図も「1枚」ではなく「部分」とすることで、またおもしろい発見があることを教えてくれる、とてもメモにも使えないものである。それでいて、100えん! パラパラめくっていたら、山古志の地図があった。 この地図は見覚えがある。『山さ行がねが』で繰り返しレポートされていた地域だ。下部のため池は、地震でできてしまった「天然ダム」だ。南側に導水路を掘り、芋川(この地図の範囲外、南にある。それが南に流れ、魚野川に合流する)に結んでいる。 (周辺図) (赤枠が上の写真および後述する地図の範囲) この『マップメモ』には、たくさんの×印がある(黄色で強調)。間違いなく、震災で通行止めになったことを意味している。一部を拡大してみよう。 いろいろ比較してみると、どうやらこれは過渡期のものらしい。国土地理院のサイトから、図歴を震災の日付と共に確認してみると、次のようになる。 ●2万5千分1図名: 小平尾 おびろう ・平成13年(2001年) 修正 平成15年(2003年)6月1日発行 ・平成16年(2004年)10月23日 新潟県中越地震 ・平成18年(2006年) 更新 平成18年(2006年)1月1日発行 ・平成19年(2007年) 更新 平成22年(2010年)2月1日発行(現行のもの) これから考えるに、『マップMEMO』に収録されたものは、平成18年更新のものに違いない。震災以前はこの天然ダムもないし、周辺の道路もまったく異なるから、平成13年修正ではありえない。 カシミール3Dの解説本に収録されている地図と「山旅倶楽部」の地図で見てみた。 ●山旅倶楽部(改訂) 平成23年(2011年)4月にリリースされた物である。おそらく、当時入手できる最新の数値地図を使用している。 冒頭の、×印が多々ある地図より、さらに最新の情報に更新されている。本図が収録されている数値地図25000「高田」は平成19年(2007年)10月1日に刊行されているので、紙の地形図の現行版に等しいと思われる。『山さ行がねが』で活用されたのも、この版であろう。 ●『カシミール3D GPSで山登り』(平成19年<2007年>4月刊)収録の地図 これは震災前のものだ。数値地図が改訂される前のものなので、旧版となっている。カシミール3D解説本は、刊行時に「入手できる最新の地図」を使用しているのだが、数値地図25000高田の前回版は平成17年(2005年)9月1日刊行であり、そこに収録されているのは平成13年版であった。 あいにく、地形図の図式に明るくない。しかし、冒頭の『マップMEMO』にある×印は、通行不能箇所を図示したものだろうことは予想がつく。中越地震の傷跡を記録したものが、4年間、売られていたとは。そして、その版のものは、数値地図として売られていないとは。その版が、今後、売られることはまずないだろう。永遠に、その版は「旧版地形図」の中に閉じ込められてしまった。残念だ。 『マップMEMO』からの偶然の出会いで知った、中越地震復興の記録であった。 (写真に撮ったものは『マップMEMO』、それ以外はカシミール3Dと山旅倶楽部を使用した) PR |
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