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翌日は晴れた。
前日の体たらくから、その日のうちに新潟に着くことは不可能と考え、
目標を「三国峠を越え、行けるところまで」とする。

高崎を出てすぐ、コンビニで朝食と飲料を買う。
ウェルチの高級ブドウジュースを買ったことだけを、なぜか覚えている。

渋川、沼田と順調に通過。
月夜野あたりからいきなり上りが急になる。
前述したとおり、水筒を持っていない。
350mlの缶飲料を買っては飲んだ。
飲みすぎると下痢するとはわかっていながら、飲んだ。
最初はスポーツドリンクやウーロン茶、
次に柑橘系、たまにコーラ類。
時には500mlを飲み干した。

群馬県は三国コカコーラなので、「アクアマリン」の飲料が目につく。
「アクアマリン カボス」があったのに感動した。
懐かしい銘柄であった。
テレビCMの歌を思い出しながら飲んだ。

缶飲料を信じられないほど飲んだ。
20本は超したはずだ。
しかし、汗の量も信じられないほどなので、
ほとんど小用を足さずに下痢もしなかった。
ということは、7リットルもの汗が出たということだろうか?

まだ500mlのペットボトルが世の中に出回るかどうかの頃のことである。
水筒といえばエバニューのポリタンクが当然であり、
自分にとっての水筒とは720mlのグランテトラであった。
それさえ持ってきていれば……


猿ヶ京のあたりから、いよいよ峠らしくなる。
押したくなるような急坂をあえぎながら上った。
時折、自分を追い越すクルマこそあれ、自転車はなかった。
対向してくる自転車もなかった。

「ドライブイン国境」を通過し、三国トンネルに達した。
ここが標高1000mを超え、トンネルも長さが1km以上あるということは知っていた。
自転車にライトはついていたが、それが真っ暗闇で役に立たないのは
中学1年生のときに新潟県柏崎市の信越本線旧線のトンネル内探索で
経験済みであった。三国トンネル内は暗そうである。
歩道もない・・・・・・。

突入。

路肩は泥が堆積していた。
だから、少し車道にはみ出しながら走った。
全長1218mだから、時速20kmで走っても3.654分かかる。
クルマに追い越されるときが非常に恐怖であるのだが、
それが約4分続くいた。

突破。
「突破」というほどのことではないのであるが、
自分にとっては紛れもなく「突破」であった。
新潟県に入った。


なんという下り坂であろうか。
怖いくらいのスピードで下ってゆく。
左手に苗場プリンスホテルが見えた。
こんなバカでかい建物が、こんな山奥にあるなんて。
まだスキーの人気が非常に高かった頃である。

苗場プリンスホテルを過ぎると、すぐに右カーブで上り坂が始まった。
なんでまた上るのだ???
必死の思いで三国峠を越え、一気に下ってきた身にとっては
理解しがたい状況であった。
いまは、ここが清津川支流の浅貝川の水系であり、
それがいったん別の支流である二居川沿いに移り、
また清津川に戻り、今度は本格的に芝原峠を越えて
湯沢の街中、即ち魚野川水系に移る、ということを知っているが、
当時はまったく知らなかった。

上り坂に一人憤慨しながら火打峠を越え、二居川沿いに出て
下り坂で一息つき、二居トンネルを潜ると、今度はもっと本格的な上りである。
おいおいおい・・・
さらに憤慨するも、このあとの芝原峠ではもう諦観した。
もうどうでもいいや。

まさか、ここ二居にこんな道や橋があったなど、思いもよらなかった。


それから、石打まで走って、やめることにした。
ライトがあるわけでなし、まだ明るいうちに行動をやめたほうがいい。
と書いて、石打のわけがない。
たしか、平屋の無人駅だったはずだ。
でも大沢でもない。
となると塩沢か?
とにかく誤って記憶されていたようで、正確なことは思い出せない。

寝床をその駅にしようかと思ったが、落ち着かなかったのか、
土合駅で寝ようと思った。
土合駅は、高校2年のときに白髪門~朝日~清水峠~十五里尾根と歩いた際、
寝床になっていることを知っていたためである。

上越線の電車で土合駅に向かう。
おそらく着いたのは午後8時すぎ、すでに駅寝している山屋がたくさんいたが、
末席に転がった。
銀マットだけ持っていたような気がするが、これは定かではない。
新聞紙でもしいたかもしれない。
シュラフは持っていなかった。
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