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20101017-03.JPG10月16日(土曜)、東京カルチャーカルチャーで『廃道ナイト3』が開催された。そこに売り子としてかませていただいた。『廃道本』をお買い上げいただいた皆様、既にお持ちの皆様に感謝しながら、けっこう「コアな人にしかわからない」ネタもそれなりにあったので、そのへんを補足しつつレポートする。

開場は17時30分だが、16時に会場入り。販売品などをセッティングしていると、ヨッキれん・ミリンダ細田・トリ各氏がご到着。すぐに準備を開始。し、同時に「特別メニュー」の名称も検討。

オレンジ色のカクテル、「三島の黄昏」は比較的スムーズに決まったが、対応する緑をどうするか。「○○隧道の苔」「対応しないなー」「三島に対応して藤村紫朗か」「マイナーすぐる」…。細田氏「グリーン(自粛)」ヨッキ氏「却下!」…。悩んだ末、「三島の青春」となった。副題に「和歌夫人」。これくらいのわけのわからなさがちょうどいい。

会場限定メニューはこんなの。「三島の黄昏」は撮り損ねた。。。
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20101017-02.JPG物販コーナー。私が『廃道本』を、マニアパレル:バドンさん(@BAD_ON)が、廃道ナイト3を機会に制作した「危険 落ちたら死ぬ!!」タオルとTシャツを販売した。

Tシャツは完売、タオルは50本近く売れた。すごい。買い逃した方は、上記サイトをチェック。通販、あるいはジュンク堂新宿店などで販売されるかもしれない。


モチーフはこちら。有名な看板だ。バドンさんは数々の土木をモチーフにしたTシャツや手ぬぐいを作っておられ、私もいくつか持っている。

私は『廃道本』のほかに、現在、丸田祥三さん(@malta_shozo、ブログはこちら)と制作中の写真集の告知をした。ご来場いただいた方々にはチラシを配布させていただいた。丸田さんについては、このブログの他のエントリをご覧ください。

リハは着々と進行。出演する3名の着座位置は、私から提案してカルカルの横山店長とヨッキさんで、トリさんと細田さんを囲む形になった。そのほうが、両側に進行役がいたほうが、話を振りやすいと思ったからだ。リハ中、トリさんの廃道好きの説明をいろいろ展開しようとしていたが、結局お蔵入りしたようだ。



今回、チケットは早々にソールドアウト。そのため、入場は整理番号順になる。開場時刻の17時30分にはかなりの方がお見えになっていた。初めての方もけっこういらっしゃったようで、全席自由にとまどっていた方もおられた。

今回は「女性は500円引き」とした。その試みにはいろいろなもくろみがあったのだが、男性に連れてこられた女性もいらした一方、お一人でこられた女性も。

約1時間後の18時30分、スタート! 以下、ヨッキさん・トリさんの顔が隠れてしまっているカットが多いが、私が座っていた席の都合なので御容赦いただきたい。

20101017-06.JPG第一部は正装。トリさんは着物、細田さんは軍服(?。違ってたらすみません)。細田さんの服、13まんえん…。右腕の階級章は「中尉」とのこと。調べたら「飛行服用袖階級章」らしい。氏はヨッキ氏と夜な夜な長電話をしているらしいが、その内容が知りたい。

乾杯!

まずは自己紹介。この手のイベントは、出演者を知っているかどうかで楽しみ方も随分違うので、かなり重要。ヨッキさんの自己紹介動画(7分!)が音楽と非常にマッチしていて爆笑。そして、ついに廃道が海外で紹介されたという報告。

20101017-07.JPGこの記事はjapantimesのwebサイトにもあるので、じっくりご覧いただきたいのだが、記事中では廃道を「abandoned road」と表現している。「obsolete road」はORJの造語なので、当然と言えば当然。なお、廃線は、営業中止、廃線跡の放置状態、ともにwikipediaでは「abandoned rail」と表現される。


続いて「おぶろぐ」で募集した「私の道路萌えポイント」。全プレゼンを掲載するが、ネタ数は一部カットさせていただく。

(1)ナトリウムランプ萌え(すどきち氏)
20101017-08.JPG共感される方は多いだろう。隧道内、夜間照明ともにナトリウムランプ。最近は隧道内は白色の光も多く、夜間走行していると隧道内のほうが明るいということも多くなった。

すどきち氏は、ナトリウムランプが落ちてきて割れたりしているのに遭遇するとハァハァするらしい。

(2)道の真ん中の木(学生服のヤマダ氏)
20101017-09.JPG学生服のヤマダ氏は、四国在住の方で、いままあでヨッキさんやORJにたびたびものすごい情報をもたらしている方だ。

20101017-10.JPG写真が出ると、開場は「ああーー……」と感嘆が漏れる。

(3)50高(nogana氏
20101017-11.JPG観客としていらしていたnogana氏自身によるプレゼン(下写真右端)。

廃止された道路標示だ。高速車/中速車/低速車という区別あった時代のもの。こんなの。

20101017-12.JPG


簡単に補足する。

現在、速度制限のない道路での自動車の最高速度は60km/h(原付等30km/h)。1992年10月末までは、大型貨物・大型特殊・軽二輪などは50km/hとされており、それを「中速車」と呼んでいた。「50高」とは、「高速車」つまり乗用車、自動二輪なども50km制限ですよ、という表示である。「40高中」となれば、高速車も中速車も40km/h制限であるということ。その表示がいまだに残っているところや、表示する必要がないのに新規に描かれたりしている画像が展開された。

(4)都市部の未成道の風景(kubodi氏
20101017-14.JPGkubodi氏も自らプレゼン。

横山さん(ヨッキさんだったかも)が「都市計画道路が好きな人!」と会場に問うと「ハイ!」「ハイ!」「ハイ!」と、非常に多くの賛同者が現れた萌えポイント。数十年という単位で進行する都市計画道路。とりあえず用地買収だけしてあったり、一部で工事が途切れていたりする部分が好きという。みな共感。

上の画像は横浜市の道路の終端部に放置されていたリヤカー。荷台を竹が貫通しており、竹を切らないとリヤカーは動かせない。リヤカーがなくなるときは、ここが道路になるとき。「廃」と「未成」が同居しているような気がした。

ここで休憩。

再開。ここから第二部、トリ氏と細田氏は「探索時の正装」に着替えているのだが、コーナーが続いているためその説明がなかったので気がつかなかった人もいたかも…。細田氏は「いつものツナギ」で電車に乗っていらしている。

その細田氏のツナギにYUKI TORIIのタグがついていたのをある女性が発見。「でも学生のときに作業服屋で買ったんですよ」と細田氏。奥方がシャレで縫い付けた? でも廃道探索を嫌悪されてるようだしなあ…。YUKi TORII、私は男なのでよくわからず、検索したら「パリコレに毎年出てる」とか書いてあったようなブランドらしい。

(5)橋桁の床版(うさ★ネコサンド氏
20101017-15.JPGとくに中京圏の廃道・廃線などに関する綿密なサイトの管理者さん。このあたりの隧道や峠で検索するとまずトップに来る。ミリンダ細田さんが「私、毎日見てますよ!」というサイトだ。

20101017-16.JPGたとえばこれ。吊橋。足を載せる板が一人分しかない。これはよくあるが、よく見ると、脇に1枚、板が沿えてある部分がある。これがなにかというと「行きちがい用の待避所」。すごい。みすごしそうだ。

20101017-17.JPGそして描き下ろしのイラスト。横山さん「なんでこんなにクオリティーが高いんですか」。たしか本職さんのはず。

(6)旧型道路標識(マフラー巻き氏
20101017-19.JPGこちらも四国の大御所、マフラー巻きさん。いわゆる「白看」好きは多いけれど、それはそこそこ現存しているから。ここではその前の時代、さらにその前の時代の標識についてひとしきり発表があったあと、この写真が出てきたのだ。

大正時代に、日本で始めて制定された標識。運輸省の前身、内務省の制定によるものだ。その事実が、道路大鑑(だったかな)に基づいて語られると、会場内はどよめいた。

なおこの画像、私はマフラー巻きさんのサイトかどこかで見た記憶はあったのだが、どこだったか思い出せない。

追記:いしぐろさんのサイトでした。元情報はマフラー巻きさん。

(7)農業用水路橋(ミリンダ細田氏)
20101017-20.JPGそして出演者のポイント。細田氏は、仕事の合間に農業用水路橋をすべて撮影し、それをすべてヨッキ氏にメールで送りつけているという。ときには1日30通くらいメールが来るらしい。

20101017-21.JPG実際、水路橋を趣味対象にしている人はごく少ないだろう。コンクリートのU字溝を組み合わせた簡易なものから、他の鉄桁を転用したものまである。

横山さん「どこに魅力を感じますか?」
細田さん「え? 魅力ですか? どこに魅力って…どこでしょうね???」(会場爆笑)
細田さん「最初は嫌いだったんですよ。でも、たとえば中学1、2年で嫌いだった女子を、3年になったら突然好きになったりするじゃないですか。それですよ」

どうやら最初は森林鉄道の軌道跡と勘違いして巡っていたらしい。やがてそれが誤りだと気づいたのだが、そのときには既に毒されていたということらしい。嫌いだと思っていたものを意識し始めるとそれが好きになる。深い。

いくつかの農業用水路橋の例が掲示され、解説されていく。ボーストリングトラスのものもあった。これについては「古い形式」と流されてしまったので、補足したい。写真を撮り損ねたので他の橋の写真で説明しよう。題材は福島県の松齢橋だ。
20101017-98.jpgこれは道路橋の例だ。ボーストリングトラスとは、一見、タイドアーチに見えるかもしれないが、部材が負担する力を考えるとトラス橋の一種である。簡単に言うと、通常のタイドアーチは分度器の形をしていて、アーチは軸方向に圧縮力、タイ(下部の直線)は引張力を負担し、それらを結ぶ部材は単に路床を吊っているだけだったりするが、このボーストリングトラスは、トラス部分にも圧縮力・引張力がかかる。

ボーストリングとは、側面から見た形状を、ボウ(弓)とストリング(弦)に見立てての名称だ。この形式は、開口面積を確保するために橋門構(画像に赤い点線で示したような部材だとお考えいただいて大きくは違わない)を設置できないため、この部分の強度が低くなってしまうという欠点がある。そのため、明治以降、九州や福島県で局地的に使用された以外はほとんど採用例はないのだが、水路橋や水管橋のように、開口部が狭くてもいい場合には、ボーストリングトラスもそれほど不利でもないのかもしれない。このへんはあくまで素人考えなので、専門家がいらっしゃったらご指摘いただきたい。なお、新潟県にこの橋のさらに特殊な使い方をした廃道がある(国道17号旧道 境橋(新潟県二居渓谷))。

そして、大物がきました。
20101017-22.JPGキングポストトラス!

同時に「六郷川にクイーンポストトラスが…」という解説もあったが、おそらくほとんどの方は意味がわからなかったに違いない。まあ、橋の構造を解説するイベントじゃないしな。ここで補足したい。

このキングポストトラスは、もっとも原始的なトラス橋だ。見ての通り、ひとつの三角形でできているので、短い橋でしか使いようがない。簡単に言うと、/\部分を横に2分する|が__部分を保持する構造だ。/\には圧縮力が、__には引張力がかかる。このプレゼン時にあった「日本で鉄道が開業したときには同類のクイーンポストトラスが…」という説明については、画像をご覧いただいたほうが早い。こちらのサイトが鮮明だ。トラスが/Π\型になる。

さらに補足すると、1972年に新橋から横浜まで鉄道が開通したとき、橋はすべて木製だった。多摩川を渡る橋ですらそうだったのである。その橋が、クイーンポストトラスだったのは上記リンク先のとおり、事実。『本邦鉄道橋ノ沿革ニ就テ』(久保田敬一)の49ページに図面がある。
20101017-99.JPG斜橋(川を斜めに横切る)であるために、クイーンポストトラスに見えないかもしれない。鉄道の発展に伴い、早くも1875年には鉄製のワーレントラスに架け替えが決定され、1877年には2代目の橋が架けられた。わずか5年の命だった。2代目の錬鉄製の橋梁は明治村に保存されている(こちらを参照)。ハァハァ。3代目は樺島正義が作ったプレートとトラスの複合桁「牛の眠るような橋」、そして4代目がいまの桁だったと記憶する。ハァハァ。

ちなみにキングポストトラス、宮崎県の西米良村には、かりこぼうず大橋というスパン50mのキングポストトラスが2003年に架けられている。こちらに図面がある。こちらも参照。また兵庫県の六甲山にも、構造的には違うのかもしれないのだが、似たものがある。こちら。ハァハァ。


第三部。

実はこの時点で終了予定の21時だった、メインディッシュたる後述レポを外すわけにはいかない。急ぎ足で、でもそれゆえに高いテンションを保ったままスタート。栗生峠にまつわる話。画像では「数坂峠」になっているものもあるけれど、どちらも関わりがある話だ。
20101017-24.JPG20101017-25.JPG20101017-26.JPG20101017-27.JPGライブならではの後述レポは、ここにすべてを書くようなものではないので割愛させていただく。いずれORJなどで発表があろうが、畳みかけるようなトークに、会場の皆さんがぐいぐいと引き込まれていくのがわかる。固唾をのんで次の展開を見守る。決定的瞬間の前に、一度立ち止まってさらに説明し、じらすなど、これは山行がやORJでもあることだが、本当にうまい。そして最後、小林勘三郎翁のくだり、私は涙が出そうになった。「道への思い」がいかに強烈なものであったか……。同じように思った人は他にもおられるのではないだろうか。



終了後、サイン会。
20101017-28.JPGタオルにサインを、という方がおられて、その後はタオルへのサインが続いた。

20101017-29.JPG.

21時50分ころから二次会。本当は千葉のトークショーでやるはずだったレポをここで紹介した。
20101017-30.JPG

そして細田さん持参の「イソビタン」争奪じゃんけん大会を以て幕引きと鳴った。
20101017-31.JPG

ご来場いただいた皆様、ありがとうございました。もっといろいろな展開もあるかもしれません。そうなることを願いつつ、次回に期待しましょう!

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