『山さ行がねが』で公開されている『小鹿野町深山の廃吊橋』を拝見し、思うところを三つ書く。
(1)鋼製の主塔を持つ吊橋 この廃吊橋レポの主眼は、一方の橋脚部分が鋼製である点に置かれている。しかし、実は鋼製の主塔を持つ吊橋も、そう多くはない。通常、主塔は鉄筋コンクリート製である。用途を終えた吊橋の主塔だけが残っている光景はいたるところで見られるが、そのほとんどはRC製で、少なくとも石積みや煉瓦積みはない。鋼製のものは少ない。 これは、土木学会中部支部のサイト内で紹介されている白川橋の解説が裏付けている。曰く、 とある。珍しいのだそうだ。 鋼吊橋は、山行が内でも探索済みの橋がある。新潟県の鹿瀬橋だ。 本ブログでも紹介している(こちら)。 主塔の横桁(というのだろうか)は、たいていRをつけた処理がなされている。 この「非常に珍しい」鋼吊橋は、全国にそこそこの数がありそうだ。 ●白川橋(岐阜県)…うさ★ネコサンドさんのサイト ●上松発電所の吊橋(長野県)…同 ●飛龍橋(静岡県)…同 ●名称不明(静岡県)…Morigenさんのサイト。 ●芋畑橋(福島県)…たつきさんのサイト。 ●名称不明(福岡県)…Flickrにshenkuさんの画像があり。 ●二見吊橋(北海道)…札幌。北海道鋼道路橋写真集。 ●土木図書館の『本邦道路橋集覧』に図面がある。 (2)鋼製の主塔 ここで、なぜ主塔が鋼製なのかが気になってくる。吊橋の主塔には、橋の長手方向には引張力が、鉛直方向には圧縮力が働くのだと思うが、鋼は、延びには強いが圧縮に弱いのだ。もしかしたら、鋼製であるがゆえの柔軟性の高さが評価されたのか、などとも思うが、まったくの当て推量なので今後の課題としたい。 (3)トレッスル橋 余部橋梁を筆頭に、鋼製トラス橋脚がある橋を「トレッスル橋」などと言い慣わすが、鉄道におけるトレッスル橋の概念は「トレッスル橋脚の真上に、トレッスル橋脚の幅分の短い桁を載せる」だったような気がする。ソースは失念。余部橋梁も、橋脚間に1つの桁、橋脚上の1つの桁があった。 (仙山線第二広瀬川橋梁) (ここまで書いて寝落ちしてしまった。日本語は大丈夫だろうか。一部修正した。) しかし、それでは道路橋での場合が説明できないので、歴史的鋼橋集覧にのっとり、上部構造と下部構造を分け、橋脚のみを「トレッスル橋脚」としたほうが誤解を生まないだろう。トレッスル橋脚の上に乗るのは鈑桁とは限らないわけだ。 これは、「トレッスル橋脚+トラス桁」の例である。どの橋かといえば、アメリカのゴールデン・ゲート・ブリッジらしい。wikimedia commondsよりパブリック・ドメイン画像を転載したが、元ページがフランス語のためまったくわからない。ゴールデン・ゲート・ブリッジではないかもしれない。 「トレッスル橋脚+トラス桁」は、ここにもある。 ●画像 日本では「トレッスル橋脚+鈑桁」しかないと思われているのでそれでもよかったのだが、今回の廃吊橋の発見により、「トレッスル橋脚+鈑桁」の代名詞として「トレッスル橋」と言うことは適切ではなくなってしまった。もう少し、海外の画像で事例を探してみたい。 PR |
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