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縁あって、丸田祥三さんにお目に掛かる機会を得た。以前も書いたが、私が丸田氏の処女作『棄景』を知ったのは学生の頃、1993年だ。読売新聞の書評欄か、情報誌・DIME(17年ほど定期購読してたが、昨年、必要のない付録攻勢+価格上昇に嫌気がさし、やめた。いまさらマウスパッドなんかいらないよ)の書評欄かで見て、その2800円という定価におののきつつ、新宿の紀伊国屋か、それとも割引で買える大学の生協で注文したか、なんだ、きっかけは覚えてないじゃないか、でもとにかく入手した。後日、JTBから『鉄道廃線跡を歩く』が刊行されると、そこにも丸田氏の写真は掲載され、そこに記されたデータをもとに、いくつかの廃線跡に行ってみた。そんな私の片思い的な存在が、丸田さんであった。

お目に掛かってさまざまなお話をお伺いした。こちらからもたくさんお話をした。17年も前から「写真家」として名前を存じ上げていた方だったが、私が作り上げていた「丸田祥三像」はものごとの本質をまったく見ていなかったことに気づいた。まあ、そんな話はおいておく。



丸田さんから『棄景V』と『棄景origin』を拝受した。ものすごくほしかったのだが、それぞれ3800円+税、6500円+税と高額であるため、購入を躊躇していたものだ(すみません)。帰宅して、じっくりと鑑賞した。「見た」でも「拝見した」でもなく「鑑賞した」である。

IMG_1677.JPG右は1993年購入の『棄景』である。



感想などは言うもおろかだ。とにかく横長の大判なので、迫力が違う。『棄景』で見開きで掲載され、本のノド(中央部)で分断されていた写真が、一枚になって掲載されている。めくるのがもったいないほどの力で攻めてくる。

丸田さんの使用機材を見ると、広角が多い。実際に誌面を見ると、広角で切り取られたものが確かに多い。私がこういう場面に行くと、まず短くても50mm、普通は70-200mmを、できるだけ長い焦点距離にして使うだろう。望遠の圧縮感が好きなのと、広角でこうした場面を撮ることは非常に難しいからだ。でも、丸田さんの作品では、広角だからこその空の広がり、空間の広がり、広角ならではの強調表現が、これでもかと攻めてくる。

さて、カバーと帯である。本の帯は、あってもなくても、カバーが生きるようにデザインされている。この2冊ではこうだ。
IMG_1678.JPGIMG_1679.JPG

見比べて、どのように感じるだろうか。帯があったほうが締まるだろうか。それとも、ないほうが、広がりを感じることができてベターだろうか。

私はともに帯なしのほうが好きだ。やはり、撮るときに自然にファインダーの中に据えられた構図が、もっとも美しいものなんだと思う。

IMG_1680.JPGIMG_1681.JPGこの2冊をお持ちの方に、ぜひご覧いただきたいのが本体表紙である。カバーを取り外したものを、表1側・表4側そろえて掲載する。

『棄景V』は、本体表紙をブルーのメタリックとすることで、カバー写真のイメージを大幅に変えることに成功している。
『棄景origin』は、カバーの黒を踏襲したのか、本体表紙の色はメタリックブラウンとでもいおうか、そんな色である。

普通の方はカバーをはずたりしないだろうが、デザインも色も、デザイナー/装丁家がもっとも自由にできるのが、この本体表紙である。ここを見ると、デザイナー/装丁家が本に込めた思いを見ることができる。一方、カバーは、営業的なもくろみや、書店店頭で類書の間に割ってはいるような要素が必要な場合があるので、デザイナー/装丁家の意のままにならないこともあるのだ。


IMG_1682.JPGIMG_1683.JPGさらに、カバーを1枚で見ている。『棄景V』は、背と表4が続いている。

『棄景otigin』は、中でも使っている豊後森の機関庫をあるがままに撮ったもので、背は背で真っ黒になっている。

こうしてみると、バーコードの枠が邪魔だ。装丁家がこれを嫌うのがよくわかる。



丸田さんが廃的な写真に込められている思いをうかがった。……道を思う気持ちと同じじゃないか。……ということは??? すかさず『廃道本』をお渡しすると、廃道に興味を持ってくださった。「今度、連れてってください」ともおっしゃった。栗子か、大峠か(このブログのタイトルバックも大峠隧道である)。個人的には軽岡、長野、佐和山だ、もしこれらを丸田さんが撮影されたら、どれだけのものができてしまうのか。想像するだけでワクワクする。どこにお連れしようか、ひとしきり悩むことにする。


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