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物語としてどちらがおもしろかったかといえば、もりた版である。

阿井版は、タイトル通り妻の目からみた三島の存在感であり、
三島と家族(二人の権妻を含む)の物語である。
史実の細かな記述があるので、そういう面では資料たりうる。
ただし、物語としてはエピソードごとに数か月ほど前後したりするので
スッと頭に入ってこない。

もりた版は、高橋由一が主題ではあるが、
本書の主題である由一と三島との関係を結ぶ高崎正風や
岸田吟香(岸田劉生の父)の名脇役ぶりが楽しい。
由一や通庸の人物像はしっかりと固定されているのも読みやすい。
由一にとっての三島の存在と、三島にとっての栗子隧道の存在が
同等、同格に描かれていると感じる。


雪がなくなるころ、栗子隧道に行こうと思う。
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