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20110604_004.JPG山友達のイラストレーター、落合恵さん(ブログはこちら)が、著書『山に行くつもりじゃなかった』を刊行したのを記念したトークイベントに行ってきた。

お相手は、これまた私が企画した登山ガイド『東京近郊ゆる登山』の著者、西野淑子さん。このつながりは、西野さんが、イラストレーターの杉浦さやかさんとの仕事で山に行き、改めて遊びで杉浦さんと山に行くときに、杉浦さんのご紹介で落合さんがいらしたという関係だ。

『山へ行くつもりじゃなかった』は、山に登り始めて日が浅いとは思えないくらい、しっかりと、落合さん流の、山の楽しさが詰まっている。最近、山に興味を持った大人にはぴったりだと思う。私のような、高校野山岳部あがりの、昔ながらの山屋目線の人間が目を背けてきた楽しさがたくさん詰まっている。とはいえ、私も年齢を重ね、こういう楽しみ方もとても心地よい。体力が衰えるのも悪いことではない。



20110604_001.JPG会場は吉祥寺のLocalite。吉祥寺に大きなアウェイ感を感じつつ、雑貨屋さんや服屋さんがたくさんある中を原付で向かう。と、地下に2軒の喫茶店。この白いほうがLocalite。

20110604_000.JPGこんな感じで原画展。漫画の編集をしていたこともあり、絵が描ける人はためらいなく尊敬する。いいなあ。かわいいなあ。額装してあるのだから、もし売っているのであれば、買って持ち帰りたいくらいすてき。

20110604_002.JPG満席。ギュウギュウの中、トークが始まる。前方、右、チェックの帽子が落合さん、左の白い帽子が西野さん。西野さんは今日、奥多摩で岩登りをしてから会場に直行だという。タフ。

会場内は、アウトドア系おしゃれ雑誌に出てくるような女性、男性ばかり。ふつう、山イベントだと中高年も多くなるものだけれど、ここにはそんな人はいない。いや、実年齢でいえば40代もいるのだけれど、印象の話だ。

会場に、経験を問いかける。初めて登ったのが高尾山だった人ー。10人くらいいたかな。富士山だった人ー。2~3人。屋久島ー。1人いた! そんなところから、初めての山とか、山未経験者を想定した話を切り出す。聴いていて思うのは、「ここは東京である」ということと、みな「大人になってから興味を持った」ということだ。そうなのだなあ。

そもそも「歩くこと」とか「山の中」を楽しく感じることができるのは、ある程度、年齢を重ねないと無理だな、と思う。私は高校で山岳部に入って山に親しみ始めたけれど、その当時から、人がいないところ、徒歩でないと行けないところに行きたいと思っていた。十代のうちからそんなことを思うのは、自分のことながら特殊な人種だと思う。


落合さんと西野さんが、どういうスタイルで山を楽しんでいるか、そんなことを話題にしながら前半終了。ここで、Localite(喫茶店だ)のコーヒーと、落合さんの山仲間、中村亮子さん(本職さん)が作ったお菓子をいただく。それが、こんなかわいい、手作りのお菓子ケース(?)に入って!
20110604-999.jpgなんでも、首から提げておいて、歩行中にぱくりとできるように…とのこと。なによりぜいたくなのは、ここに落合さん直筆のイラストが入っていることだ。全部で6種類あるそうで、同じ意匠でも、手書きなので少しずつ異なる。これはすてき! 家に持ち帰ったら、妻がとてもすてきがっていた。お菓子は、長細いバナナケーキと、落合さんの好物だというナッツを甘い(何か)で固めたもの。コーヒーとあいまっておいしかった!

この休憩(?)中、落合さんとお仲間が八ヶ岳の本沢温泉に行った映像をプロジェクターで流す。音楽つきで、とても楽しそうなPVに仕上がっている。私の場所が最前列になってしまい、とても見づらかったけれど!


後半は、持ち物とか、アドバイス的なことも。大人になってから始める人は、たいていの場合は「先生」がいないので、あるいはいても「その先生の考え方」に従いがちなので、こうしたトークで、いろいろな人が「自分はこうしている」「私はこう考える」という意見を聞くのはとても有用だと思う。

大人でグループで行っていると、他のグループの見解を知る機会もなかなかない。本当は、いろいろな意見を知り、それを自分で判断して決めるのがいちばんいい。それが、「一人で山に登る」ということにもつながってくる。そう思っている。

20110604_003.JPGトーク終了後。左:西野さん、右:落合さん。落合さんが初めて山(那須岳)に行ったときは、ほぼこのスタイルだったそう。後ろにあるのは原画。


次回は6月18日(土)、等々力の「巣巣」で落合さんと杉浦さんのトークがある。こちらも行くつもり。


なお、落合さんの著書『山に行くつもりじゃなかった』(MilleBooks)には、私も描いていただいている。偉そうに、いろいろ答えている(笑)



今日のトークを聞いていて、合点したことがある。東京で山を楽しんでいる人と話したときに、前提が違うと感じることについて、だ。

私にとっての山は、新潟の山、というか関東日帰り圏ではない山。 日帰りでも「電車で行く」という観念はないし、泊まりならばテントになる。
登山口を8時とか9時に入るというのは考えられず、行動は夜明け前からで、遅くとも5時には歩き始めている。そうした、行動様式そ の他は高校野山岳部で身につけた。でも、これって生まれ育った環境みたいなものだから、そこに異を感じてもしょうがない。私以外の人から見れば、私の前提 などよくわからないだろうと思う。でも、首都圏以外に住んで山を楽しんでいる人は私に近いと思う。

幸か不幸か、衣類は綿しかない時代だっ たし、ゴアテックスインナーの安価な登山靴なんかもなかった。テントはまだ三角形のものも使われていた。ストーブはプレヒートが必要な、灯油燃料のマナス ルやオプティマスだった。なにより、ザックが、アタックではなく、キスリングだった。三つ子の魂百までとでも言おうか、山に「ちゃんと」登らなくなって久 しいが、「ちゃんと」と言うあたりが、その魂なんだろうな。



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