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8071088459_2cc10b4703.jpg右足の甲の骨(第4中足骨)を折って3週間が経った。完全に固めるギプスではなく、ギプスシーネという添え木を包帯で巻いている。松葉杖必須なのだが、とても重労働かつ全体重がかかる手のひらが痛くてしょうがないので、自宅から会社の駐車場までまったく歩かずに行ける原付で通勤している。朝と夜、友人からもらったアドレスV100で都内を走る。学生時代、1990年代前半以来だ。左手には松葉杖、写真に少し写っている。

いま、朝も夜も、都内の道路にバイクはほとんどいない。いても原付二種かビッグスクーター、まとまってもせいぜい3台。たまにビッグバイク。赤信号で止まっても、みな自分のバイクの性能をわかっているし、おっさんばかりなので、わきまえながら順々にスタートする。

学生の頃は、赤信号になると多いときは十数台が並んだ。たいていはオフ車で、XLR250Rが多かった。たまに逆輸入のレーサー、XR250Rがいたり。ぼくはTT250R、当時最新のバイクだった。まだ大型バイクは「限定解除」が必要な頃で、それなりに乗ってる人は多かったけれど、通勤や通学で使っている人はほとんど見なかった。見かけたときは、憧れの目で眺めていた。ぼくが限定解除をしたのは学生時代ではなく、もう会社に入ってからだ。この前、リヤタイヤの側面まで使い込まれたアプリリアのRSV4を見た。すばらしいエンジン音だ(排気音ではない)。ビッグバイクは問答無用にかっこいい。


都心や都内をバイクで走ると、ときどき思い出すことがある。あれは、750ccのバイクを盗まれたぼくに、CB750を貸してくれた友人に返しに行く途中のことだ。国道20号の右側車線を西へ向かっていた。750だから、流れをリードしているのだけれど、トラックが1台、左からおかしな割り込みをして、ぼくの前にかぶせてきた。たぶん、ぼくのことは見えていない。

もちろんこちらは動力性能にも相当な余裕があるのでちゃんと減速してかわし、こういうクルマの近くにいると巻き添えを食いかねないので左側追い越し(これは禁止事項だけれど)でトラックを抜いた。バツが悪いことに、赤信号になった。

左側車線に止まっているぼくの右隣りにトラックが並んだ。助手席の窓が開いた。

「危ねー!」などと怒鳴られるかと思った。いや、危ないのはそちらだし…。ところが、若い男性の運転手が少しすまなそうな顔をして、「ごめんね!」

そうだ、彼は、ぼくに気づかずおかしなかぶせ方をしたのをあとから気づいたのだ。ぼくが左から抜いたのを見れば、その行為を愉快に思っているわけがないことはわかるだろう。こちらは当惑し、照れてしまい、なんとか右手を挙げて「どうも」かなんか間抜けな返事をして、青信号になったからダッシュでスタートした。いや、その場から逃げた。

男性も、バイク乗りだったのかもしれない。
Mr.バイクの「隠れ家信哉直送便」に吹き込みたくなるような話だったが、そういうのもなんか照れるので、ずっとしまっておいた。書いたのは、いまが初めてだ。


15日にはギプスがとれる。どこかに行きたい。





 
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一緒に「きっぷジャンケン」に出演したのが縁で仲よくなったイシトヤチグサさんの出演する舞台『しんや、にじ、くらくらと。』に行ってきた。芝居を見るのは十数年ぶり、といっても芝居をしていた友人のを何度か見に行ったくらいで、前回は猫のホテルの舞台だった(いまサイトを見たけれど、古すぎて載ってない)。

紙・電子問わず出版での表現を主として少しは映像に関心がある者として「芝居」を見て思うのは、芝居というのはいろいろな表現手法のいいところを取り入れることができる器なのだということ。代わりに、その労力たるやたぶん最大級だし、大規模な形で広がることも難しい。出版物や映像と異なり、現地に行かないと共有できないからだ。でも、仕方ない。映像(テレビなど)で、芝居の手法を取り入れたりすることがときどきあるが、私はあれは大嫌いである。伝わらないよ、無理だよ。芝居は「生」なんだ。



『しんや、にじ、くらくらと。』で圧倒されたのは、声と、身体での表現だ。見ている者をどんどん引き込んでいく。まるで役者と自分が同じテーブル、あるいは近くのテーブルで飲んでいて、会話に加わってもいいかのような錯覚に陥る。

ちょっと気の利いたレストランや飲み屋で、客に誕生日イベントをすることがある。店主導で、ケーキとかデザートをプレゼントするもので、店員たちが手拍子しながら客の元にやってきて、それにつられて店の中が一体となって手拍子をする、といったイベントだ。そのときのように、思わず、役者と一緒に叫んだり、盛り上げたり(そういうシーンなのだ)したくなってしまう。声が漏れてしまいそうになる。この引き込みようはすごい。



ストーリーは…予想していたのは、深夜二時の青春群像。でも、ちょっと違った。人は誰でも与えられたステージがあり、それを見守っている人がいるということ。気持ちが明るくなる青春の物語。そういうのは、40のおっさんが見ても、とても楽しいもので、感動するものだ。こういう芝居は、中学生などに見せたらいいんじゃないか? すばらしい教育になると思うのだけれど。


追伸:ストーリーについては、フライヤー等には一切書いてないのに、公式サイトに少し書いてあった。事前に見なくてよかった。。。
20120720_-r000.JPG山と渓谷社刊『JRの本』(写真 小川金治・井上広和、解説 JRR)を古書で買った。ちょっとカビ臭かった。この本の存在はtwitter上で@team185さんに教えていただいた。国鉄がJRになった当時の駅構内の売店などの写真が多数掲載されているとのことで、興味を持った。

20120720_-r003.JPGなるほど、これは貴重だ。フィルムの時代、撮るとすれば駅舎や駅名標がせいぜいで、このようなものを撮っている人など皆無に近いだろう。本書では、国鉄がJRになった、その違いを記録するために撮り続けたのだろう、それが今では非常に珍しい記録となった。


どの店舗も、いかにも1980年代後半からのテイストである。写っている女性は前髪を立て、眉は太く、唇は赤く、肩パットの入った上着にハイウエストのタイトスカートをはいていたりする。いまではバブル期の「バカ」みたいなニュアンスで語られることが多い。

この時代の店舗の装飾やファッションは、「いま」見るととても古くさくて垢抜けない。そりゃそうだ、風俗は変化するものだし、新しい風俗は、常に古い風俗を「古い」とバカにすることで成り立つ。でも、ここに、ちょっとちくちくするものを感じるのは私だけではないはずだ。

なにしろ、自分が十代後半の時代である。多感なその時代の自分をいまの視線で眺められているような、自分の厨二時代を暴かれているような、そんなちくちく。

20120720_-r004.JPGこのロゴ、いまなら、たぶん「街観察大好き」な奴らがみたら、嘲笑するに違いない。

でも、待てよ、と。これはこういう時代だったんだ。定規と鉛筆が大切だった時代。いまみたいに、小学生がタダでもらってきたPCですらベジェ曲線でお絵かきと色塗りができてしまうような世界など、夢のまた夢の時代。だからこそ、このロゴには価値があるし、その裏には「なんとかいいものにしよう」「愛されるロゴにしよう」という、作り手の気持ちが見えてくる。見えてくるのは「一所懸命な気持ち」だ。

この時代は、「軽いもの」「表面的なもの」がもてはやされた一方で、こうした地道なものも確かにあった。軽めなものをもてはやす人は、地道なものをばかにした。こんなことは語り尽くされているし、当時でさえ、地道な人の気持ちを描いたストーリーというものはいくつも存在した。

20120720_-r006.JPG不要になった貨車を店舗に使い、輝かしい未来があると信じている中学生や高校生をターゲットにした店舗を作る。なんと一所懸命な気持ちだろう。いまなら企画の提案すらできないかもしれないが、国鉄からJRに変わる時代には、これができた。これをする人がいた。

20120720_-r007.JPG食堂車を改装したレストランもたくさんあった。写真を見ると、なるほどすてきな内装である。その後は、この手の店舗のほとんどはうまくいかなくなって解体されるのだが、もし現代まで営業を続けられていたら、いまこそ花開いたかもしれないと思う。

こうした、車両を改造した店舗の写真もたくさん載っている。

20120720_-r005.JPGこの流れで行くと、当時の私でさえ「ひでえ配色だ」と思った数々の車両意匠も理解ができる。デザインの基本すら知らない人たちが、なんとかいいものにしようともがいた結果がこうした配色なのだとしたら、それを「ひでえ」と思うことは控えたいと思う。

いや、こんなことは私の考えすぎで、もしかしたら当時は「ノリ」でこれらのことすべてをやってしまっていたという可能性もあるのだが、まあそれはそれで。


いわゆるバブル期に、バブルに踊ることなく「国鉄からJRへ」という周囲の期待感と内部の後押し感の中で、さまざまなことにチャレンジした人たち。本書には、その姿と成果が、たくさん記録されている。そのほとんどがほどなく失敗に帰したとしても、これはその記録である。

* * *
 
以上のような思いとは別に、本書には私が貴重だと思う写真がふたつある。

20120720_-r002.JPGひとつめは、JR東海の浜松工場。なんと、911が検査を受けている。要検なのか全検なのかはわからないが、台車は切り離され、車体にはパテが盛られている。

20120720_-r001.JPGもうひとつは、DML61S/Zを使ったJR北海道苗穂工場のコージェネシステムだ。説明文によればDD51とDE10から捻出したエンジンとある。

興味深いのは、さらに「安価に効率よく高エネルギーを得られる」とあることだ。これはどうだろう? コージェネで使うエンジンは、鉄道車両用エンジンのように回転数を制御することが前提のもではなく、最大出力を発揮する回転数で定速を維持し、また熱交換機も相当に高いスペックを要求されるものだ。そう考えると「安価に効率よく」というのが書き手の知識不足ではないかと思う。そもそもDML61シリーズの効率はけっしてよくはない。



ある「ソリューション事業」を見学した。例えて言えば、インターフェースでソリューション、みたいな事業。すべて予想できる内容で、まあこういう機能を持たせたがるだろうな、というものだった。もともと、「ソリューション」という単語に虫酸が走るのは昔からで、電子書籍関係を推進する事業者にも似たような感情を持っている。

先日、Googleはどこへ行くのか、というような記事があった。ちょっと記事が見つからないので曖昧な記憶を便りに書くと、Googleが目指す未来は、例えば男が女の部屋に遊びに行ったときにまずするのはスマホをいじること、ふたりでVR眼鏡をかけて映像を見ること、みたいなことだった。そこに人間はいるのか? みたいな内容の記事。インターフェースでソリューション、みたいな事業は、これと同じ臭いがプンプンする。



例えば。

ある通販雑誌にスマホをかざすと、誌面にはバーコードもなにもないのに、通販雑誌のサイトがスマホに表示され、そこにモデルが踊る動画が表示される。……いや、検索画面で通販サイトを表示すればいいじゃん。

クルマのカタログにバーコードを置くと、それをPCのカメラが読み取ってPCの画面にクルマの立体画像を表示する。別のバーコードを読ませると、クルマが回転したりスケルトンになったりする。運転席からの眺めをCGで流せる。……いや、フラッシュで作れるじゃん。運転席からの眺めはCGじゃなくて実写でいいじゃん。



一体、誰がそんな「一手間」かけてソレを見るのだ?
そして、誰がそんな「一手間」を作るのだ?
コンテンツを持たないところは、こうした事項の「編集」もできないのか?
できないのだろうな。「ソリューション」とは解決策を提示する手法であり、コンテンツそのものを提供するシステムではない。
なお、お金になるかどうかはいまは問わないでおく。要するに顧客サービスだから。

時々SONYとappleを比較する発言を見るけれど、SONYはこれ。appleは違った。そういうことだと、私は思う。SONYで言えば、walkmanの時代は逆だった。walkmanは「ユーザーしか見てない造り」だった。しかし、いまの音楽ダウンロードサービスは……。

これは、いまの電子書籍を取り巻く環境と軌を一にしている。「書店」が乱立するけれど、それは読者不在でもあるので売れ行きも見込めず、結局普及していない。iPadが出て何年になる? ナントカソリューションとか言う前に、電書のソリューションをまずやりなさい。「箱は造った、中身はこれから考える」じゃダメなんだよ。先に中身があって「これをどうやって入れようか」を考えるのが、商売だろうよ。きっと、箱を先に造ることは比較的簡単にできて、中身を造ることは容易でない。だって、いまある箱なんて、みんな似たり寄ったりだし、A社の箱の要素をB社に「造って」と頼めば造ってくれるような違いしかないもの。

今回の見学では、私が思っていたことを裏付けることができてホッとした。私の電子書籍の捉え方は間違っていないのだな、と。
鉄道のオフ会のような飲み会があったのだけれど、まさかの展開で出入国印マニアな話をたくさん聞くことができた。なんだこのおもしろさは! 話を伺ううちに、船で外国に行くことはレアなことらしいとわかった。韓国航路がある港やサハリン航路がある稚内は比較的メジャーだろうけれど。

20120423_000.JPG「新潟港の出入国、ありますよ」と私が言ったら、その、恐ろしい集め方をしているその方にも珍しがられたので、調子に乗ってここにアップする。新潟港の出国印と入国印である。

こういうことをまったく知らなかったので、検索してみると、新潟空港から出入国する場合は、スタンプが「NIIGATA A.P.」となるとのこと。港湾と空港が同じ名称である場合、空港側に「A.P.」とつくようだ。成田は港湾がないので「NARITA(1)」などである。「(1)」は第一ターミナル。

このときの目的は、ロシアンラリーの取材。その様子はこちら。ちょうど10年前だ。

現地4泊、うち3泊は船中泊だったと記憶している。最初の寄港地はナホトカなので、入出国もナホトカ。
20120423_001.JPG左が出国、右が入国。上のピンクのスタンプは、港湾らしく船が描かれている。



どうやら、この世界は、スタンプのためだけに海外に行くことが多々あるようだ。でも、たいていの行き先はチャーター便で韓国だったり中国だったり。日本では珍しい「発地」になっても、行き先は成田みたいなもので。そういう悲哀を含む楽しみ、大好きだ。
 


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