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謹 賀 新 年



今年はもっと走らないとね。

今年もよろしくお願いいたします。



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昨年、触発されて作った2013年『轍のあった道』アワード。今年も振り返ってみようと思う。

おもしろいもので、「なにかないかな」と探すために出かけるとなにも出会えず、「先を急がなきゃ」と思って道を走っていると、さまざまなものに出会う。何事も、目的がなければ中身は希薄になる。旅は少し急いだほうがいいのだ、きっと。

今年はあまり「橋を見に行く」ということをしなかったので、2015年は四国・九州のいい橋をたくさん見て来れたらいいなと思っている。

では、好き勝手に作った賞をば。

●橋梁賞

高萩駅付近の跨線橋(歩道橋)その1
フィーレンデールトラス。車窓から目に飛び込んできたので、途中下車して撮影した。こんなところにあるとは。

<次点>
湊小橋(久見浜湾)偶然出会った美しい橋。ラーメン構造なのか、アーチの変形を脚で支えているのか。久見浜湾。

●鉄道賞

カプセル駅 妙法寺駅
カプセル駅 古津駅
カプセル駅 上下浜駅

「カプセル駅舎」とは、国鉄末期に作られた規格ものの駅舎の総称だが、そのうち、昭和50年代に建てられたこの3駅舎はファンシー要素を含んでいる。すなわち、Rのある窓、扉である。オジサンががんばって「かわいい」を作りました、という雰囲気があって、すごく好ましいのだ。実家からそう遠くはないので長年、再訪しようと思いつつ、やっと実現した。

●地形賞(道路編)

カシミール3Dで見る アップダウンの激しい道路(地形編)
アップダウンの激しい道路(写真編)

一直線なんだけれどアップダウンがある道。ドライバーの視線だと、この程度のアップダウンはまったく意識に昇らないのだが、たった50cmとあなどるなかれ、クルマは走れなくなり、最悪の場合はエンジンに水を吸い込んでしまう。

●地形賞(カシミール3D編)

カシミール3Dで見る新潟県(旧)上越市と旧頸城村の境、保倉川の氾濫原と蛇行跡


柏崎市 鵜川の改修跡と元・氾濫原
(Kashmir3D+DEM5m+数値地図25000)

2点挙げた。どちらも自分で行ったり、街歩きに参加したりして気づいたことだ。「こうかな?」と思ったことや、現地で聞いたことをあとから地形で確かめるというのはとてもおもしろいことだ。みんなもっとカシミール3Dを使ったらいいのに。

●給油所賞(現役)

砂丘に建つ出光
久見浜湾で出会った給油所。この立地の感動は、行ってみないとわからないだろう。それを表現する写真の腕がなくて忸怩たる思いだ。

●給油所賞(跡)

翼端の同心円 黒石市内の幹線道路で目に飛び込んできた同心円。共同石油のマークは大好きなのだが、防火壁にこのようなマークがあったとは。ほか、北海道でも見かけた。

●建物賞

マンサード屋根の三重奏 利尻島で見かけた民家。民家にカメラを向けるのは大変申し訳ないのだが、向けずにはいられなかった。じっくり眺めて欲しい。

●廃車体賞

取り込まれたワムハチ

なんと、斜体が取り込まれている。たったこれだけ、数立米など、取り込んだ大きな倉庫に比べれば不要な気もするのだが、向こう側は扉が機能しており、そのために取り込まれたのかもしれない。(許可を得て撮影)

* * *

さて、では『轍のあった道』アワードです。

轍のあった道大賞 

「アワード」としては、土木的ななにかを選びたいところだが、今年は残念ながらそこまでの大発見というか、私しか見ていない、私しか知らない、というようなことはなかった。しかし、私でなければ解説しづらい、というものがあるので、これを挙げようと思う。

時刻表の活字 活版印刷の時代



誰もが簡単にPCで時刻表のような組版を作れてしまう。対してノスタルジーを喚起する古い書がどうやって作られていたかはあまり顧みられることはない。活字であることはわかるだろうが、それをどうやって運営していたのか。それを展示する素晴らしいイベントだった。私は見ればわかるが、これを解説するイベントをやってほしかったし、もっともっと鉄道ファンは訪ねるべきだと思った。

こうした工程への関心が深まることへの願望を込めて、この記事を大賞とする。

* * *

2015年もよろしくお願いいたします。
「浜松ジオラマファクトリー」という施設がある。情景作家・山田卓司氏のアトリエ兼展示施設で、そこで「浜松ジオラマグランプリ」というコンテストを開催している。その大賞(グランプリの次)ほか計三つ受賞したのが、軍艦島の日給社宅をモチーフにした「光さす庭」だ。

来年の8月頃まではケースに入れられた状態で自由に閲覧できるというので、大阪に行った帰路、浜松に立ち寄った。上の写真で白くなっている部分は、ケースへの映り込みだ。

この9階建てのアパート、恐るべきは室内の作り込み。戸、窓、手すり、すべて1mmに満たない部材を使ったフルスクラッチだ。1フロアだけならともかく、9フロア分。それを2棟分。ちょっと作業が想像できない。

9階建てだが、実物はけっこう小さい。1/200くらいか。Nゲージサイズより小さい印象だ。この作品はあくまでも日給社宅をモチーフとしたもので、日給社宅を模型化したものではない。軍艦島のほかの建物の要素をいくつかミックスしているので、軍艦島の、とくに立ち入り禁止エリアになんらかの手段で(取材会や特別なイベントなどで)入ったことがある人には、よくぞ行ったことのない作者がここまで…と思うことだろう。

驚くべき話がある。当日、現地からtwitterに写真をアップしたのだが、元島民で軍艦島の保存活動をされている方が、写真を日給社宅の実物と見間違えて思い出のコメントをくださったのだ。それくらい、雰囲気を捉えているということだ。

惜しむらくは、展示の方法。作品タイトル「光さす庭」とは、非常にすぐれた名付けだと思うのだが、この展示では庭に光はささない。左上からスポットライトを当て、陰影をつけてあげたい。審査期間中はケースもなかったし、もっと自由に眺められたようだ。

* * *

さて、以下は「好み」の感想。この「光さす庭」に比べて、グランプリ作品は、実はかなり大きい。縮尺は1/15程度か。ほか、浜松ジオラマファクトリーには数々の情景作品が展示してあるのだけれど、そのほとんどは1/35くらい、ガンダムでは1/100。Nゲージの車両工作やジオラマを見慣れた目にはちょっとスケール感をつかみにくく、情景も狭いと感じてしまう。また、ガンダムなども表面がつるっとした部分が多いので、もっと凝縮感がほしくなる(あくまで「好み」の話)。

とはいえ、鉄道模型でいえば「16番クラス以上の大きさの車両のディテールアップ」のような楽しみ方は模型の楽しみの王道の一つであり、ジオラマをたしなまない(簡単なパイクをひとつ作ったことがあるだけ)私のような者は、自分で手をかけるという点ではその楽しみ方はよくわかる。

題材が違えばスケール感も違うのだということを知った展示だった。

●審査日にご覧になったきしのさんのブログ
digression第3回浜松ジオラマグランプリ

●浜松ジオラマグランプリ公式サイト
http://www.hamamatsu-diorama.com/2014/08/3rdgpresults.html

●作者による制作日誌
光さす庭(軍艦島日給社宅)ができるまで・その1
光さす庭(軍艦島日給社宅)ができるまで・その2




からぱた写真集『LOVE WILL GUIDE YOU』を刊行したからぱたさんが、村上隆さんのギャラリー「Hidari Zingaro」で写真展を始めた。

「写真、すごいから!」という自信と写真への問題提起が溢れ出しているのは上記エントリに書いたけれど、今回はそこからさらに、「作品」となったらどうなるかというのを同時進行で見せてくれている。

美しくプリントし、額装したものを、それなりの値段をつけて売る。決して安くはない。しかし、その過程をtwitterで見ていたり、実際に目の前にしたりすると、財布を開きそうになる。それこそが(他人に評価してもらい、価値を付与してもらうものを「作品」と呼ぶなら)「作品」になる瞬間である。「芸術」といってもいい。

「作品」になるのは、からぱたさんという生身の人間の創作活動として生まれてきたものだからである。もし同じ写真が、作者不明でその文脈も見えないなら、人は決して「作品」とは評価しないだろう。モニタでFlickrにアップされた画像を見ている人も、そういう見方をしているに違いない。



写真展の初日、からぱたさんと村上隆さんとのトークがあった。これがまたおもしろかった。「作品」に対しての頑健な芯があり、膨大な知識をまとっているはずの村上さんが、そんなことを笑いの流れで隠しながらからぱたさんを裸にしていく。写真論に見えるけれど、そうではなくて、なぜ自分が嫌だと感じるものがあるのか、なぜそれを改善しようと思っているのか、そこにどんどんピントがあっていく。こういうことは、相当な先達、ここでは村上さんのような人だからこそできるのだと思う。

からぱたさんの「なんでガンジス川のあの場所の写真、まともなのがネットにないの?」という疑問や、「雑誌に載せるような写真の撮り方」というのはとてもシンパシーを感じる。そして最後、村上さんが「作った模型をいかにうまく撮るか、ということを風景に置き換えたのがこの写真展」というようにまとめたのだが、これも非常によくわかる。

また、からぱたさんと村上さんの、写真界や写真評論家への批判も、これまた激しく同意する。写真界なんてのは、いま(広角固定で、彩度を勝手に高められたり、逆にinstagramのように色褪せたように設定して)スマホで毎日何十枚も写真を撮る人たちの感覚なんて絶対にわからなくて、写真界の文脈にいる人を相手に、20年前に仕切っている人がそのまま今も仕切っている。いま世の中で撮られてる9割9分以上(※根拠なし)の写真は評価の対象にすらなってない現状には強い違和感がある。



実際にからぱたさんと村上さんの生のやりとりをみて、特に印象に残ったところだけをこうして書いたが、こういうのは文字だけ読んでもあまり伝わらないのだろうなと思う。文字列と生のトークとの違いは、先に書いた「写真」と「作品」くらい違う。だから、みんなもっと現場に出ようよ。



少しだけ自分の話をすると、ぼくが初めて「これは特大プリントで見たい!」と思った写真は、2006年ころだったか、クルップのバケットホイールエキスカベーターの写真を見たときだ。あの時代に、こうやってつぎはぎして作った写真に見入った。ぜひ最大サイズで見て欲しい。からぱたさんの写真集には、これと同じくらい見入った。
http://commons.wikimedia.org/wiki/File:060428-bagger288-garzweiler.jpg



さて、作品を買うかどうか。財布が…などとは書いても、現実はいろいろと非常に厳しい身にとっては額装作品はちょっと高い。あくまでも個人的な感覚としてはポスター(横1m超)が額装されて1万円くらいなら買う、といったところ。実際はその倍なので、額装なしのものを注文した。1万円なら額装ナシが2~3点買えるが、そういうものでもない。作品を買うというのはそういうことだ。

そして、少しでも、こういうことに興味を持ったら、中野ブロードウエイに行き、写真展を見て、写真集を買うといいと思う。いままで写真集など買ったことがない人も、絶対に意識は変わるから。


●からぱた写真展
http://hidari-zingaro.jp/2014/03/love-will-guide-you/
4月29日にいろいろなイベントがある。また作品や「ポスター」の価格も書いてある(ポスターの額装価格は誤りのようだ)。
1991年2月末だったと思う(前年かもしれない)。大学受験のために新潟と東京とを何度か往復していた。きっぷは東京ミニ周遊券で、試験の前日に新幹線で行ってゆうぼうとに1泊し、試験後は節約のために各駅停車の乗り継ぎで新潟に帰っていた。当時は17時28分頃に上野駅を出れば、23時過ぎに新潟駅に着くことができた。

その日(日付は忘れてしまった)、雪が降っていた。上野から高崎までは順調に来たが、なんと高崎以北が雪のため運転見合わせ中だという。やむを得ず、高崎から新幹線に乗った。もちろん、ふつうに新幹線特急券を買って、である。いま思えば、目的地が新潟であることを申し出れば、タダで乗れたのではないだろうか。その次の受験日が何日後だったのかは覚えていないが、新幹線で帰ったのはその一度きりで、以後、また各停で帰っていた。親には「疲れるから新幹線で帰ってこい」と言われた

そんなみみっちい話まで思い出してしまったが、やはり、どんなに雪が降っていても新幹線だけは動いている。その安心感は、上越新幹線沿線の人以外にはわからないのではなかろうか。一度、宿が取れずに受験当日に新幹線で往復したことがあるが、それくらい、信頼していた。幸い、受験に関した移動時に、上越新幹線が遅れたことは一度もなかった。



単なる思い出話である。




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